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狭心症、心筋梗塞について

皆さんは普段の生活の中で、階段や坂道を登ったり、重い荷物を持ったりした時に胸が重苦しい感じがしたり、締め付けられるような症状を感じた事はありませんか?
このような症状がある場合、狭心症の可能性があります。

狭心症(きょうしんしょう)とは?

狭心症とは心臓を栄養する血管(冠動脈;かんどうみゃく)が動脈硬化などで狭くなり、心臓に十分な酸素や栄養が届けられなくなる状態をいいます。
冠動脈は体の中でも1番大切な血管と言っても過言ではなく、全部で3本あり心臓の各部位に隈なく張り巡らされています。

狭心症の原因は?

狭心症の原因は主に動脈硬化です。
動脈硬化は生活習慣病(肥満、高血圧高コレステロール糖尿病、タバコ、ストレス、家族歴等)が原因で引き起こされます。
動脈硬化によって、コレステロールなどが血管の中に溜まっていくことにより、徐々に血管の内側が狭くなっていきます。
それにより血液の流れが悪くなり、狭くなった先の心臓には栄養や酸素が届けられなくなってしまい、胸の症状が出現します。

狭心症の症状は?

狭心症の前兆は、階段や坂道を登ったり、重いものを持ったりしたときに現れる胸の締め付けられるような圧迫感です。
最初は安静にすればすぐに治ることも多いのですが、徐々に進行すると、軽い動作でも症状が出現したり、症状の回数が増えたりします(不安定狭心症)。
また、放散痛(ほうさんつう)といって歯やあごの痛みや左肩から左手にかけての痛みが生じる場合もあります。
これらの症状は数分から10分程度続く場合が多いです。

狭心症のチェック項目は?

まずは問診で症状や危険因子(リスクファクター)のチェックをします。

  1. どのような時に、どのような症状が出る?
  2. その症状はどれくらい続く?
  3. 放散痛はない?(※放散痛については上記参照)
  4. 生活習慣病はない?
  5. 喫煙歴は?
  6. 血の繋がったご家族に心筋梗塞や脳梗塞になった方はいない?

狭心症の検査は?

心電図検査

まずは安静時の心電図検査を行い、心電図波形に狭心症の変化が出ていないかをチェックします。

心エコー検査

超音波を用いて心臓の動きを実際に見に行きます。
狭心症の場合は、部分的に心臓の壁の動きが悪くなることがあります。

運動負荷試験

狭心症では安静時に心電図検査を行ってもほぼ正常であることが少なくありません。
そのため運動をしながら心電図検査を行い、運動に伴う症状や心電図変化を見る運動負荷試験を行う場合もあります。

ホルター心電図

24時間心電図を記録する検査です。
日常生活における労作時の心電図変化を確認するのに有用です。

血液検査

狭心症が濃厚に疑われ、症状などから心筋梗塞も考えられる場合は採血検査も行うことがあります。
心筋梗塞では心臓の筋肉が壊死したことにより漏れ出る酵素があります。
代表的なものとしてトロポニンという酵素であったり、クレアチンキナーゼ(CK)という酵素などがあります。
また、心臓に負担がかかった時に上がるBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンを同時に測定することにより、心臓にどれだけ負担がかかっているかを調べることもあります。

冠動脈CT検査・心臓カテーテル検査・心筋シンチグラム検査

これらの検査はクリニックではできないため、必要に応じて近隣の病院をご紹介いたします。

狭心症の治療は?

ニトログリセリン

ニトログリセリンとは俗に「ニトロ」と呼ばれる薬剤のことです。
ニトログリセリンを舌の下に入れて溶かすと、速やかに体内に吸収されて数分で発作を抑える働きがあります。
これはニトログリセリンには一時的に心臓の血管を拡張する作用があるからです。
しかしこれはあくまでも対症療法であり、狭心症が治るわけではありません。
その効果はすぐに切れてしまうため、症状が再発してしまいます。

カルシウム拮抗薬や硝酸薬

これはニトログリセリンと似たような働きのあるお薬で、心臓の血管を拡張することで血液の流れを良くして、狭心症の症状を緩和させます。
ニトログリセリンと違うのは、これらの薬剤は頓服ではなく定期内服することが多いということです。
ニトログリセリンの頓服だけでは症状のコントロールが難しい場合は、これらの薬剤を必要に応じて定期内服する場合があります。

β遮断薬

疲れた心臓を休ませる目的で投与する場合があります。
なお本薬剤は心臓の血管が痙攣(けいれん)を起こすことで発症する冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症に対しては、症状が悪化する可能性があるため使用ができません。

抗血小板薬

抗血小板薬とは、その名の通り「血小板(けっしょうばん)」に「抗う」薬のことをいいます。
血小板とは血液を固める作用のある血液細胞です。
この働きを抑えることによって血液が固まりにくくなり、狭くなった血管を詰まりにくくします。

スタチン

このお薬は血中のコレステロールを下げる目的で使用しますが、狭心症においては心臓の血管に溜まったコレステロールの塊(プラーク)の進展抑制や退縮効果を期待して内服することがあります。

EPA製剤

この薬はサバなどの青魚に含まれる魚油を主成分としたもので、ドラッグストアなどではDHA/EPA含有の健康食品としてよく販売されています。
医療用に純度を高めたものがEPA製剤で、この薬剤はスタチンと一緒に内服することでさらに血管内に溜まったプラーク成分を安定化させ、心筋梗塞への進展を防ぐと考えられています。

カテーテル治療及びバイパス手術

お薬だけでは治療困難な場合、カテーテル治療やバイパス手術に踏み切ることがあります。
これらの治療はクリニックではできませんので、近隣の医療機関をご紹介致します。
カテーテル治療は狭くなった血管をバルーン(風船)で膨らませたり、ステントと言う金属の筒を病変に留置することで血管の血流を改善させます。
また、カテーテルでは治療困難な場合は、心臓外科によるバイパス手術という開胸手術を行う場合もあります。

※心筋梗塞について

心筋梗塞とは狭心症の延長線上にある病気と考えてください。
狭心症では動脈硬化により血管内にコレステロールの塊(プラーク)が形成され、徐々に血管の通り道を狭くしていきます。
そのプラークが何らかの影響で突然破綻した時に、血小板など血液を固める働きのある細胞や因子が急速に血栓(かさぶた)を形成します。
その血栓により心臓の血管をあっという間に詰まらせてしまうため、詰まった先にある心臓の筋肉に酸素や栄養が行き届かず、心臓は一気に壊死してしまいます。
この急速に進行する病態を急性心筋梗塞といいます。
急性心筋梗塞は一般のクリニックでの治療はまず困難なため、近隣の大きな病院に緊急搬送します。
急性心筋梗塞により壊死した心筋は二度と再生しないため、これ以上進行させないためにも一刻も早く処置が必要になります。
それが緊急カテーテル治療と呼ばれるものです。緊急カテーテル治療により心臓の血流が改善すれば、さらなる心筋壊死を防ぐことが可能となります。
また血流の回復が遅れれば遅れるほど、死亡率も上昇すると言われており、1分1秒を争う状態といえます。
そのため急性心筋梗塞を疑う場合は、速やかにカテーテル治療が可能な施設病院に、緊急搬送することが重要と考えられます。

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