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弁膜症について

最近よくテレビのCMでも「弁膜症」という病気を目にするようになりました。
高齢者がなりやすいとか、心臓の病気だとか、なんとなくは知っているけど、詳しくはあまり知らないという方がまだまだ多い印象の病気です。しかし、今後さらに高齢化社会を迎える日本において、増え続けるであろう病気の一つなので、要点だけでも押さえて頂くことをお勧めします。

弁膜症とは?

理解しやすくするため、心臓の解剖について少し触れておきたいと思います。
まず、心臓は4つの部屋に分かれています。その4つがこれらです。

「左心室」「左心房」「右心室」「右心房」

そしてそれぞれの部屋は「弁」で区切られており、心臓には4つの弁があります。

「大動脈弁」「僧帽弁」「肺動脈弁」「三尖弁」

健常な心臓ではこれらの弁が閉じたり、開いたりしながら、血液を滞りなく「一方通行」で流れるように管理しています。



しかし、弁に異常が起こると弁の閉まりが悪くなり、血液が逆流してしまったり(逆流症)、逆に弁が開きづらくなって血流が滞り(狭窄症)、全身に適切に血液が流れなくなってしまいます。この状態を「弁膜症」といいます。

弁膜症の症状は?

初期の弁膜症は無症状である場合も多いです。診察時の聴診でたまたま心臓の雑音を指摘され、初めてわかるケースもよくあります。しかし次第に悪化するに連れて、「心不全」症状(主に息切れやむくみ)が出現するようになります。(詳細は「心不全」のコラムに譲ります。)また、心臓に負担がかかることによる「不整脈」も出現することがあります。このような状況になるといよいよ治療が必要となります。

弁膜症の検査は?

まずは診察時の聴診です。聴診で心臓の雑音を聴取した場合は積極的に検査を勧めます。
心電図、胸のレントゲン検査、採血検査でBNPの測定(BNPとは心臓に負担がかかった時に上がる数値)、心エコー検査などを一通り行い、重症度判定と治療方針を決定します。
弁膜症が見つかったものの重症ではなく、軽症・中等症の場合は数ヶ月から1年毎に心エコー検査を行い、手術のタイミングを逸することがないように適切に管理します。

弁膜症の治療は?

症状を伴う重症弁膜症は基本的に手術治療が勧められています。もちろん、対処療法として、心不全症状や不整脈の治療を行うことはありますが、これは一時凌ぎのもので根治療法ではありません。かつては胸を切り開くダイナミックな開胸手術が主な治療法でしたが、医療の進歩により、現在では適応があればカテーテルなどでより低侵襲な(ダメージの少ない)治療が可能となりました。いずれにしても治療の際は心臓血管外科医のいる地域の中核病院にご紹介となるケースがほとんどです。
そして注意が必要なのは「症状が乏しい」重症弁膜症です。重症なのに症状が乏しいって変な感じがしますよね?しかし意外に多いので注意が必要です。というのも、重症が故に患者さんご自身が無意識のうちに行動に制限をかけているケースがあるのです。せっかく心臓以外は元気なのに、弁膜症で動けないのはかわいそうですよね。このような方も心エコーでしっかりと重症度評価を行い、場合によっては手術治療を勧める場合があります。

弁膜症かな?と思ったら、当院にご相談ください。

高齢者の中には自分が弁膜症と気づかず、息切れの原因は「歳のせいだ」と諦めている方がいらっしゃいます。これからも高齢化が進む中で、弁膜症はよりメジャーな病気になっていくでしょう。息切れやむくみなど弁膜症にまつわる症状がある場合は、積極的に心臓のチェックをされることをお勧めします。当院では循環器専門医がその患者様に合った適切な検査及び治療をご提案させていただきますので、どうぞお気軽にご相談くださいませ。

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