皆様は普段の生活の中で、胸の痛みを感じる事はありませんか?

「胸が痛い」原因は？

胸の痛みといっても、「心臓」が原因のこともあるし、「消化器系 (胃や食道、十二指腸、胆嚢など) 」や「肺」の病気、「肋間神経痛」、「肋骨の骨折」など、原因は様々です。

「胸が痛い」時のチェック項目（ → 疑わしい臓器は？）

①胸の痛みと言っても具体的にどこが痛い？

痛い場所	疑わしい臓器
胸の「真ん中」	心臓、食道、胃
胸の「左側」	心臓、左の肺、肋間神経痛
胸の「右側」	右の肺、肋間神経痛
胸と言っても「みぞおち」	心臓、胃、十二指腸、胆嚢

②どんな痛み？

痛みの種類	疑わしい臓器
ドーンとする痛み （圧迫感のある痛み）	心臓、胆嚢
チクチクする痛み	心臓、胃、肺
焼けるような痛み	食道、胃
ズキンとする痛み	胆嚢、肋間神経痛
苦しさを伴う痛み	心臓、肺

③どんな時に痛い？

痛い時	疑わしい臓器
坂道や階段を登ったりすると痛い	心臓
食事を食べたりすると痛い	胃、十二指腸、胆嚢
深呼吸や咳をすると痛い	肺、肋間神経痛
体を動かすと痛い （体勢によって痛い）	肋骨の骨折
安静にしていても痛い	全部考えられる

④胸の痛みの持続時間は？

痛みの持続時間	疑わしい臓器
一瞬痛む	肋間神経痛
数分続く	心臓
数時間続く	心臓、肺、食道、胃、十二指腸、胆嚢
ずっと痛い	肺、肋骨の骨折

「胸が痛い」時の検査は？

当クリニックでは、上記チェック項目なども参考にしながら、胸痛の原因となり得るものを優先順位をつけて検査を進めていきます。

「心臓」が原因と考える場合

「狭心症」「急性心筋梗塞」「大動脈解離」「弁膜症」などを中心に探っていきます。採血検査、心電図検査、胸のレントゲン検査、心エコー検査などをおこないます。

「消化器」が原因と考える場合

「逆流性食道炎」「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」「胆石性」などを中心に探っていきます。胃カメラや腹部エコー検査などが必要となる場合が多いので、必要に応じて消化器内科をご紹介いたします。

「肺」が原因と考える場合

「気胸」「肺炎 (胸膜の炎症を伴ったもの) 」「肺塞栓症 (エコノミークラス症候群) 」などを中心に探っていきます。指先の酸素濃度測定(パルスオキシメーター)、喀痰検査、採血検査、心電図検査、胸のレントゲン検査、心エコー検査などをおこないます。「気胸」や「肺塞栓症」など処置が必要で、緊急性の高い病気に関しては、適切に連携病院にご紹介いたします。

その他の臓器が原因と考える場合

肋間神経痛

肋間神経痛とは何らかの原因で肋間神経(肋骨に沿って走る神経)が障害されて起こる突発的な痛みのことをいいます。特徴的な症状は、片側が痛い、深呼吸や咳をすると痛みが増す、などです。スクリーニングで胸のレントゲン検査を行う場合があります。また、お年寄りや疲れが溜まっている人など、体の免疫力が落ちたときに多い「帯状疱疹」も肋間神経痛の原因になります。この場合、体の片側の肋間神経に沿って水ぶくれができますので、比較的わかりやすいことがあります。必要に応じて採血検査で帯状疱疹のウィルス抗体価を測定することもあります。また、「椎間板ヘルニア」など整形外科の病気が隠れている場合もあるので、必要に応じて整形外科にご紹介いたします。

肋骨の骨折

症状として、安静にしているときに鈍い痛みがある、体位変換や深呼吸、また外から押したときに痛みが強くなる、などが特徴的です。胸のレントゲン検査で肋骨の状態をチェックし、必要に応じて整形外科にご紹介いたします。

「胸が痛い」時の治療は？

胸痛に対する治療は、上記の如く原因により様々です。（各疾患のリンクがある場合は、そちらで詳しく説明しております。）いずれにしても、大切なのは命に関わるような重篤な病気を見逃さないことです。

命に関わるものと言えば、やはり「循環器疾患 (心臓や血管の病気)」が多いです。例えば、「急性心筋梗塞」や「大動脈解離」などは、特に緊急度が高く、高次救命病院に速やかに紹介し治療を受けないと命に関わる場合もあります。これらの病気を速やかに診断するには循環器専門医を受診することをお勧めします。なおそれ以外の病気でも、もちろん中には重篤になり命に関わるようなこともございますので、その際は適切な専門科にご紹介致します。

「胸が痛い」患者様は当院にお気軽にご相談ください。当院では心臓を中心に胸痛の原因となりそうな病気をチェックします。当院でできる検査として、採血検査や胸のレントゲン検査、心電図検査、さらには心エコー検査なども受けることが可能です。患者様の既往歴や上記チェック項目等を参考にしながら、優先順位をつけて適切に必要な検査をご提案させていただきますのでお気軽にご相談下さいませ。